7月怒りをこめてふり返れ

観劇。

あらすじ

英国中部のある大都会の屋根裏部屋。貧しい下層階級に生まれたジミーは、妻アリソンと、同じ下層階級出身の友人クリフとの奇妙な三人の共同生活を続けていた。ジミーは、政治、宗教、あらゆる旧世代の価値観や秩序に激しい怒りをぶちまけ、さらに搾取により裕福で欺瞞に満ちた生活を送る憎むべき中産階級出身の妻アリソンにいらだち罵倒する。善良なクリフはジミーに怒りの矛先を向けられ憔悴したアリソンをやさしくなぐさめるのだった。

ある日、アリソンの友人ヘレナが部屋を訪れる。窮状を見かねたヘレナは、アリソンの父親レッドファーン大佐に連絡を取り、説得されたアリソンは実家に戻るのだが。

ものすごい熱量。

役者さん達の熱量が凄まじいことは勿論、

観ているこちらまでふつふつと熱気を帯びてくる。

3時間ほどの芝居。

とてもエネルギーを消費して疲れましたが笑

今このタイミングで観劇して良かったです。

主人公はとにかく怒っている。何に対し?誰に対し?何の理由で?

観終わってもやはり分かりきれなかった。

生まれる時代を間違えたという台詞があるのですが、

その言葉に尽きる、ということだろうか

色と理解しきれない部分もあるのだけど、

私はジミーとアリソンこの夫婦のラブストーリーだと思ってる。

観劇の前に古い戯曲を読んだのですが、

その時も結局これはラブストーリーだよなという感想を持った。

怒りの表現は活字でも凄まじいんだけど、

根底ある二人の愛がこちらにも届いてくる。

それが悲しくもある

そうそう、やっぱり演劇は凄いなと思ったのは、

役者さんが演じると

活字の何倍もエネルギーが大きくなるということ。

主人公を演じる中村倫也さんの熱量が凄まじくて圧倒的。

とにかく台詞が多くて速いのだが、

緩急がついていて

繊細な表現がとても美しい。

叫ぶような声、静かな声、寂しげな声

どれも素晴らしいです。

中村倫也さんの美声は歌うときにさらに煌めくのよ!!と常思っていましたが、

(と言いつつ中村さんののミュージカル作品は観たことないです動画とか歌声を聴ける機会があったので知りました)

思いがけず本作で歌声を拝聴しました

ミュージカルではなくて演劇なのでね、

歌声なんて期待してなかったのですが、

まさか!まさか!歌唱場面があるとは!!

幸せだ

幸せすぎて聴きながらニヤニヤしてしまいました。笑

ミュージカルに出演される機会があれば、

是非観に行きたい!と決意したのでした!

怒って、泣いて役者さん達のエネルギー消費は凄いだろうな。

あれを連日やってらっしゃるんだから

役者さんって凄いなと思います。

作品自体の感想ですが、

うーん難しい。

余韻が凄かったので、思い返しながら色と考えを巡らせていますが

理解しきれない部分も多いなー。

アリソンの言った

彼から苦しみを奪ってはだめ。というような言葉。

ジミーには苦しみがなければ生きていけない。

怒りの根っこにあるものは、苦しみなんだろうな。

夫をこんな風に理解する妻

二人のギリギリの関係性や、

これまで過ごしてきた時間の重みが

突き刺さる台詞です。

情熱もなく全てに無関心なアリソンに対して、

ジミーは怒っている。

後半に明らかになる

自由を手に入れるには汗を流さなければならない

というジミーの思想。

二人が初めて出会った時

ジミーにはアリソンが何にも縛られていなくて自由そのもののように見えた。

ジミーはアリソンのそこに惹かれたのだと。

だけど結婚した後、アリソンは自分が思っていたような人間ではなかったことに気づいた。気づいてしまった。

苦しまず、汗を流さず生きるアリソンへの怒り。

ジミーの怒りの一面にはこういう思いもあるんだろうなーと

自由を手に入れるには汗を流さなければという台詞から感じました。

ただ、それはアリソン個人に向けているだけではなくて、

中流上流階級の人に対しても向けられてるような気も。

というか、そもそも階級制度自体への怒り??

あー。難しい

それと、二人が初めて出会った時について、

ある場面でジミーはアリソンに対して

君は覚えていないだろうけど

と怒りをぶちまけるのですが、

また別の場面、ジミーがいないアリソンとヘレナ二人きりの時に

アリソンは初めて出会った時のジミーはと語り出す。

それがなんとも可愛らしくて、饒舌で。

なんだよ!お互いにめっちゃ好きじゃん!!

と思った。

ジミーはアリソンのことめちゃめちゃ見てるけど相手は気づいてないんだろーなーと思っていて、

だけどアリソンはジミーのことに気づいていてよく覚えている。

なによ、この夫婦。かわいい。笑

やっぱりこれはラブストーリーだよ!

あとね、音楽がどれも格好良かった。

オープニングなんてエミネム

戯曲自体は何十年も前のものだけど、

めちゃくちゃロックでパンクな音楽が使われてるので

現代的な空気が流れて

他にもドアをノックするような音や、

鼓動の音(?)(アリソンが妊娠しているから、っていうのもあるのかな?)、

効果的で格好良かった。

今のところ、考えても考えても

?が消えません。

イギリスの時代背景や階級制度についての

勉強不足というのも大きいだろうな

が、しかし、

観ている最中私は泣きそうになった。

泣きそうで、頭が痛くなる感じ。

理由が自分でも分からないのですが、

はっきりとはしないけれども

そこに圧倒的に存在している

ジミーの怒り

アリソンへの愛

どれも全てあまりにも圧倒的なエネルギーを持っているので、

そのエネルギーに共感理解したのかなと思う。

劇中の彼らと私とでは生きている時代が全く違うけれど、

たぶん年齢は近いはず。

20代。

不安ばかり抱えていて

自信も手応えもないのに、

時間だけはどんどん過ぎていく。

私は若さにすがっているつもりはないけど、

正直その他でコレというものがないので

もう若さしか残ってない

という感覚があるかも。笑

まぁその話は置いといて。

所在のない怒りや

得体の知れないエネルギー、

いつどうやって誰に向けて発したら良いのかわからないものたちが

きっと私の中にもあるのだ。

劇場には色んな年代のお客さんがいらしていたけど、

もっと上の年代の方は違う感想を持つんだろうなー。

大人な感想を私も書いてみたいけれど笑

今この年齢で、このタイミングで観れたことは

とても貴重なことだと思う。

すんなり理解できるものも良いけれど、

簡単には答えが出ないもの

答えが一つではないものを

ドンと渡される感覚。

好きです。

演劇ならではの感覚ですね。

ずっと考え続けて、

忘れた頃にふとしたきっかけでまた思い出して考えて。

怒りのこめてふり返れもそんな作品になりそうです。